趙国の武将、王族、文官の人物紹介。
李牧軍
李牧(りぼく)
趙の新の怪鳥と呼ばれる王騎、同じく秦の大将軍である麃公、燕の英雄である劇辛を討つなど大物食いを成す。
王騎を討った後は宰相になり、内政にも影響を与える。
戦の才に恵まれているが、無駄な犠牲や戦は望まない。
秦王である政が唱える「百年後の平和のためには、血を恐れず中華統一しかない」という考えには「無益な血を流さず中華七国で同盟を結ぶべき」と真っ向から対立する。
王騎は死ぬ直前、自分を超える李牧の才能を感じて述べた言葉は・・・
「これだから乱世の世はおもしろい」
カイネ
李牧の護衛である二刀流の女剣士。
戦になるとカイネ隊を率いて戦う。
男性のように気が強いが、李牧と同様に無用な血は好まない。
特に同じ女性で戦場に立つ河了貂には、敵でありながら互いに救うような行動を取ってしまう。
ちなみに信のことは「ツリ目」と呼び、信はカイネを「男女」と呼ぶ。
傳抵(ふてい)
李牧の配下であり、三大天を目指す若き将。
腕力はさほど高くないが、早いステップと動きを読む鋭さで翻弄する。
傳抵曰くカイネは「将来の嫁」らしいが、カイネの方はその気が見られず・・・
晋成常(しん せいじょう)
合従軍の蕞攻めでは、李牧の副将を務める老将。
歯がなく戦場でも笑顔で話すが、発する言葉は過激で挑発的。
蕞の東璧を攻めて、秦軍の将である璧と戦う。
秦の援軍に山の民が来ると李牧に対して退却を進言し、時を稼ぐため突撃し死す。
舜水樹(しゅんすいじゅ)
李牧軍の副官。
頭脳明晰で李牧が信を置く人物。
北の遊牧民である匈奴の孤児であり、匈奴の言葉を話す。
秦国が20万の兵で進軍すると、兵糧の流れを察して、業が狙われることをいち早く察する。
戦が始まると遼陽軍の大将になり10万の兵を指揮する。
楊端和の捨て身の戦術にはまり、遼陽城を取られると列尾城の方へ退却する。
馬南慈(ばなんじ)
李牧軍の副官。
かつて李牧と共に趙北部(雁門)で、騎馬族の匈奴を相手に戦い「雁門の鬼人」と呼ばれる。
個人の武力が高く、力と力の戦いを得意とする。
王翦軍の亜光に重傷を負わせ戦線離脱させる。
一方、間合いの隙を狙う王賁のような槍使いや、亜花錦のようにハエのように付きまとう戦いには苦手とする。
王翦の首を取るため目の前まで迫るが、蒙恬に虚を突かれ右目を負傷し逃す。
中華統一を目指す政を「六国全てを踏みにじる、人の皮をかぶった獣」と表す。
龐煖(ほうけん)
趙の新三大天。
国や戦には興味がなく、情を捨て武力の強さを追求し、強い者を倒すことを生き甲斐にする。
羌瘣と似た業を使うが、羌瘣のように息切れする弱点がなく、一撃の重さは遥かに上回る。
秦の六大将軍である摎を討つと、駆けつけた王騎に敗れる。
その後3年は傷を癒やし、6年掛けて修行を積み、9年の時を経て王騎と再戦する。
その結果、王騎を討つことになったが、一騎打ちに邪魔が入ったことが納得できず、さらに強い武を求め続ける。
その姿を見て麃公は「矛盾に気付かぬ、ただのど阿呆」と言う。
魏加(ぎか)
李牧軍の将。
龐煖と王騎の一騎打ちで、王騎に矢を打ち込む人物。
魏加は李牧に言う。
「全土が注目する大舞台に、わずかでもこの魏加の爪痕を残したく。たとえ汚れ役でも」
それに対して李牧は返す。
「かたじけない」
王騎に矢を打ち込んだのち、飛信隊の信に討たれる。
紀彗軍
紀彗(きすい)
元離眼城の城主である紀晶の子。
地方勢力の戦いで離眼城が落とされ、紀晶が捕虜となり殺される。
父の最後の言葉は「離眼の子らを守り抜け」。
その後、20歳の若さで城主となり、5年で離眼の力を復活させる。
練兵を重ねた兵は趙で一・二を争う。
離眼の民を愛し愛される隠れた名将。
秦と趙による黒羊の戦いでは、民を愛す心を桓騎が逆手に取り、黒羊の丘を奪われ敗北。
飛信隊の信には慶舎、副将羌瘣には劉冬が討たれ、因縁の相手となる。
劉冬(りゅうとう)
紀彗軍の副将。
元離眼城の城主であった紀晶の育てられる。
その後、紀彗の元の部下となる。
紀彗軍の軍師も兼任し、奇策を用意て相手の翻弄させる知将。
剣術のレベルも高く、飛信隊の羌瘣に暗殺を狙われるも返り討ちにする。
しかし慶舎を狙う飛信隊を止めるため、突撃し羌瘣と再戦で討たれる。
馬呈(ばてい)
紀彗軍の副将。
劉冬と同じく紀晶に育てられ、その後紀彗の配下となる。
体格が大きく、斧を振るい隊の先頭に立つ。
田永からは「デカブツ」と呼ばれる。
騎乗した状態で斧を受けると、馬の脚が折れるほどの腕力。
戦術は苦手であり、紀彗や劉冬から策を受け取るも応用はできない。
慶舎軍
慶舎(しゃけい)
幼いころに村が襲われ両親と言葉と感情を失う。
子供の頃から模擬戦(戦術練習)が強く、李牧に目をかけられ武将の道へ進む。
その結果、李牧さえも恐れるほどの本能型の智将になる。
「沈黙の狩人」と呼ばれる待ちの達人。
ワナを仕掛け相手が好機と思い動くを待ち、知らぬ間にからめ捕る。
しかし黒羊の戦いでは、桓騎に逆手に取られる。
紀彗により救われ逃げ切るが、飛信隊の意表を突いた強行突破により信に討たれ死亡する。
岳嬰(がくえい)
慶舎への忠誠が強い副官。
ガタイが大きい槍の使い手。
感情が高ぶると冷静さを失い、味方にさえ槍を向ける。
朱海平原の戦いで、飛信隊の信に両断される。
金毛(きんもう)
慶舎の副官。
長年、慶舎に仕え戦い方をよく知る側近。
個人戦の能力は高くないが、軍を指揮する軍師タイプ。
感情により判断を誤ることもあるが、立場で別けることなく、人の意見を聞き入れる柔軟さ持つ。
飛信隊の信には上官である慶舎、共に側近を務めた岳嬰を討たれる。
その思いを胸に、飛信隊の軍師である河了貂を討つ直前までいくが、河了貂に「お前の思いも背負う」と言われ、弓に狙われてることを悟りながら矛を振り上げる。
直後に飛信隊の淡に射貫かれ死亡する。
藺相如 軍
藺相如(りんしょうじょ)
廉頗と双肩を成した、今は亡き旧三大天。
絶頂の時に病にかかり、そのまま絶命した。
有能な部下の10人は「藺家十傑」と呼ばれる。
そのうちの8人は藺相如の死後、無理な戦いを繰り返し戦死する。
生き残った2人が尭雲と趙峩龍である。
藺相如は死ぬ直前に夢を見る。
そして尭雲と趙峩龍に伝えた言葉は
「朱き平原を敵の地で染めてやれ」
その10年後に朱海平原で戦いが起きる。
趙峩龍(ちょうがりゅう)
旧三大天である藺相如の部下。
趙の危機に私兵を連れて朱海平原で戦う。
戦に参戦するのは10年ぶり。
趙軍の右側に入ると頭脳として指揮を取る。
飛信隊を包囲するが、羌瘣を中心に突破され信に討ち取られる。
尭雲(ぎょううん)
旧三大天である藺相如の部下。
趙峩龍と同様に朱海平原で復帰し、趙軍の右翼に入る。
本能型の武将であり河了貂を戦術で苦しめ、信と一騎打ちするも決着がつかず。
李牧の策により玉鳳隊を追い詰め、王賁に重傷を負わすが、右手を貫かれる。
戦線復帰し左手で矛を振るも王賁に討たれる。
その他の武将
趙荘(ちょうそう)
馬陽戦で、軍師として参戦し、龐煖の代理で大将を務める。
奇策を得意として、突撃を繰り返す蒙武軍に罠を仕掛け半壊させる。
王騎の副将である騰の力を見誤り、王騎が討たれる前に討たれる。
李白(りはく)
「守備の李白」と呼ばれる将軍。
馬陽戦では斜陣という陣形でモウブ軍と対峙するが、策を無効とする蒙武の武力により被害を受け退陣する。
合従軍では慶舎の下で指揮をとる。
馮忌(ふうき)
「頭脳の馮忌」と呼ばれる将軍。
馬陽戦では、王騎の干央軍を策にはめて、大きな被害を与えるが、虚をついた飛信隊により討ち取られる。
公孫龍(こうそんりゅう)
「万能の公孫龍」と呼ばれる将軍。
龐煖の実績は「秦の六代将軍である摎を倒したのみで、なぜ三大天になったのか?」を知る数少ない人物。
秦国による業攻めでは、陽土で待ち構え山の民を迎え撃つ。
その後、舜水樹を元で山の民を追い込むが、バジオウに右腕を切られ戦線離脱する。
渉孟(もうしょう)
「破壊の渉孟」と呼ばれる将軍。
三大天の座を狙い、龐煖が三大天になったことを面白く思っていない。
王騎軍の鱗坊には「武に関して奴の強さは、底が知れない」と評価される。
しかし王騎と一騎打ちでは、まったく歯が立たず死亡する。
王騎の元で副将を務める騰は言う。
「底が知れないのは殿(王騎)の方だ」
万極(まんごく)
長平の戦いで、勝利した秦は投降した趙人40万人を生き埋めにする大殺戮が起きた。
万極も生き埋めされたが、はい上がってきた生き残り。
その恨みから、秦人を皆殺しのために武器を取る。
馬陽戦では王騎の死を聞いた録嗚未軍が決死隊となり、万極軍は大きな被害を受ける。
合従軍では慶舎の元で戦い、飛信隊の信に討たれ死亡する。
万極は言う。
「中華統一して争いがなくなっても深き怨念は消えない」
趙括
2ほど続いた長平の戦いで、趙王がしびれを切らし廉頗から趙括に変わり大将となる。
相手は秦の大将白起、副将王騎。
しかし趙括に変わった途端、王騎に討たれ終結する。
楽乗
李牧が台頭する前は、趙で廉頗に次ぐ実力者と言われた人物。
趙王である孝成王が亡くなると悼襄王が即位する。
悼襄王は太子のころ廉頗に叱られ、その恨みから廉頗を大将の座から降ろす。
これに反発した廉頗は悼襄王の怒りを買い、楽乗に討伐を命じる。
しかし廉頗にあっさり負け「秦の六代将軍たちに比べてば腹六分と言われる」
廉頗
武力と知謀を兼ね備え、王騎と互角に渡り合う趙の旧三大天。
楽乗を返り討ちにした廉頗は、生え抜きを連れて趙を離れ魏に亡命する。
その3年後、攻めてきた秦の蒙驁と対峙する。
この目的は蒙驁軍の副将である王翦と桓騎。
王騎が亡くなる前に「退屈したら蒙驁軍と戦え」と言われていた。
蒙驁の首を取る寸前まえ行くが、桓騎と王翦に追い詰められ、山陽を明け渡し和睦する。
責任を取り斬首を受け入れるが、魏の景湣王に救われ、楚に亡命する。
王族・高官・文官など
(趙王)悼襄王(とうじょうおう)
趙の第9代君主。
秦国に攻められると李牧から援軍の要請を受けるが、これを拒否する。
国の将来や民より自分を優先する。
そんな国王を見て李牧は言う。
「国を滅ぼすのは敵に非ず」
嘉太子(か たいし)
趙の民を想う太子(次期国王)。
理解力に優れ、防衛に走り回る李牧を気遣う。
国家の危機に自らの危険を顧みず戦場に立つと話す姿に、李牧は一筋の光を見る。
趙希伯(ちょうきはく)
業の城主であり悼襄王の伯父。
王翦が率いる秦軍に周辺の9つの城を落とされ、全ての難民を受け受け入れる。
これが仇となり兵糧攻めされる形のなり、李牧軍による開放を待つ。
春平君(しゅんぺいくん)
趙王である悼襄王に愛される美少年。
紀元前243年に顔なじみであった呂不韋に拉致される。
呂不韋は趙王に対して「返還の条件として李牧に咸陽まで迎えに来させろ」と脅迫する。
これにより李牧と呂不韋の会談が実現。
交渉の結果、趙は秦と同盟を結ばされ、おまけに巨大な城である韓皋を明け渡す。