秦国の王族、文官、後宮の人物紹介。
嬴政(えいせい)
第13代秦王。
後の始皇帝。
父である子楚と共に人質として趙に送られ幼少期を過ごす。
呂不韋の計らいで、父である子楚(別名:荘襄王)が太子になったことで帰還する。
権力を持つ呂不韋に幾度となく暗殺されそうになるが、昌文君等に助けられる「薄弱の王」
目標は中華統一。
「戦争のない世の中にするためには中華統一しかない。そのためには血を恐れない」と主張する。
この主張に李牧は「無益な血を流さず、中華七国で同盟を結ぶべき」と真っ向から対立する。
秦の将軍である桓騎も「中華統一とは大殺戮、大略奪。狂気じみた正義」と失笑する。
昌文君(しょうぶんくん)
秦王・嬴政に忠を尽くす家臣。
元は武官であり昭王の時代に王騎と戦場を共にする。
その後、文官に転身し9歳で帰還した政の教育係を務める。
秦国では長年にわたり、呂不韋派・嬴政派に別れ内部闘争を続ける。
常に風上に立ちながら、嬴政派と共に苦難を乗り越える中心人物。
「毐国の反乱」「合従軍」の戦いでは、戦場に復帰して秦国を救う。
まさに粘り腰の男。
性格は真面目で堅物。
無礼を繰り返す信をよく説教している。
内政では丞相の地位まで登り詰め、以前より秦国の課題であった荒地に治水工事を成功させる。
政を長年に渡り見続けた昌文君は言う。
「政様は戦神と呼ばれた昭王を超える」
成蟜の乱で共にした信は「昌文君」もしくは「昌文君のおっさん」と呼ぶ。
呂不韋(りょふい)
元は商人。
趙で人質となっていた秦国の王族である子楚に出会う。
子楚は20人の兄弟がいて、国王に遠い存在だったが、呂不韋は財産を使い太子(次期国王)にさせる。
その見返りで丞相となる。
呂不韋四柱という呼ばれる部下を登用し、秦国内で勢力を伸ばす。
更に高みを目指し「嬴政の暗殺」や「毐国の反乱」など権力を拡大するため様々な手を尽くす野心家。
目標は「富で中華を統制する」こと。
秦を発展させ、他国に富を分け与えることで手を結ぶ手法を唱える。
嬴政が唱える中華統一は「つぶして従わせる。勝利する側の身勝手な夢の押し付け」と説く。
昌平君(しょうへいくん)
呂不韋四柱であり、秦国の軍事司令官。
軍師養成学校の運営も行い、若き才能を探し育てている。
蒙恬、蒙毅、河了貂はこの学校で学ぶ。
中華統一に向けて詰みの一手である「山陽の戦い」を打つが、李牧に読まれ合従軍として攻められる。
合従軍に対して呂不韋は、政の首を差し出し交渉に持ち込もうとするが、昌平君は蕞城に向かう政に側近を送り援護する。
そして「加冠の儀」をきっかけに呂不韋の元を離れる。
蔡沢(さいたく)
呂不韋支柱のひとり。
戦の神と言われた昭王の時代には丞相を務める。
その後、孝文王、荘襄王、嬴政と4代に仕える。
弁舌を得意とし外交を務める。
6ヵ国が合従軍を起こし秦を攻めたときには、斉王(王建)と交渉し斉軍を離脱させる。
その2年後には、斉王を咸陽に招き政との会談させ、斉王は非公式であるが降伏宣言する。
この会談に昌平君ではなく昌文君を同席させたが、そこにも蔡沢の狙いがある。
李斯(りし)
呂不韋支柱のひとり。
「法の番人」と呼ばれる内政官。
冷酷な性格であり、裏の舞台で呂不韋陣営に貢献しようとするが、自由奔放である呂不韋に振り回される。
昌平君と共に丞相になるのが濃厚であったが、政陣営の勢力が高まり昌文君に負ける。
呂不韋の失脚後は、罪に問われ幽閉される。
しかし蔡沢の導きにより昌文君が、法の作りのため政陣営に加える。
太后(趙姫)(美姫)
趙で生まれたことから名は趙姫。
貴品のある美しさから「美姫」「邯鄲の宝石」と呼ばれる。
※邯鄲:趙の首都
商人の呂不韋とは恋人だったが、呂不韋は子楚に近づくため差し出され、出世の道具に使われる。
子楚との間に生まれた子が、のちに始皇帝になる政。
同時期に「長平の戦い」が終わり、秦は投降した40万人の趙兵を生き埋めにする。
趙から恨みを買い、子楚は逃げたが趙姫と政は置き去りにされる。
そこから7年間、趙姫は身を汚しながら食つなぐ。
趙で起きた闇の深さから、秦で太后となった後は政と敵対する。
嫪毐と共に「毐国の反乱」を起こすが、それも呂不韋の手の中で動かされる。
成蟜(せいきょう)
嬴政の弟(異母兄弟)。
政の母は舞子に対して成蟜の母は王族であることから、自分が王族純血であると主張する。
王位についた嬴政を憎み、竭氏と共に反乱を試みるが鎮圧され幽閉される。
幽閉から3年後、打倒呂不韋に向け嬴政に協力する。
成蟜の協力で昌文君を丞相に昇格させ、政陣営は政治の発言権を手に入れる。
その後、成蟜は謀反を起こし死亡するが、この謀反を裏で操るのは呂不韋。
竭氏(けつし)
秦国の左丞相(右丞相に次ぐ2番手)。
大きな実権を握る呂不韋(右丞相)と対立する。
政治に興味がない成蟜を取り込み嬴政を殺す共謀する。
しかし、山の民を味方につけた嬴政陣営に鎮圧される。
最後は成蟜さえも見捨て、脱出しようとするも山の民に討たれ死亡する。
肆氏(しし)
竭氏を支える参謀。
嬴政派と対立し、兵の手配や文官ではあるが戦場でも矢面に立つ。
嬴政派に敗れるが、政の命令により命の保障され、嬴政陣営に転身する。
昌文君からは「憎々しい奴だが文官としての才能と経験は、ワシよりはるかに上」と評価?される。
介億(かいおく)
軍総司令である昌平君の側近。
合従軍に攻められ、政が蕞に向かうと昌平君の命により援軍に向かう。
蕞の防衛線では北璧を務め、西璧の昌文君、東璧の璧に援軍を送り「危険度の平均化」を成した影の功労者。
軍事学校の講師でもあり、蒙恬や河了貂にとっては先生。
昌平君が呂不韋陣営から離れると付いて行く。
蒙毅(もうき)
祖父に蒙驁、父に蒙武、兄に蒙恬がいる名家の生まれる。
昌平君の軍事学校で学ぶ軍師見習い。
河了貂が軍事学校に入ると兄弟子として共に学ぶ。
実践は河了貂に先を越されてしまうが、昌平君と共に模擬戦を行い戦略を練る。
嫪毐(ろうあい)
秦国の下級文官。
男性の物を車輪の軸に通して回す、という一芸を持つ男。
そこに目を付けた呂不韋が、太后と体の関係を断つため後宮に送られる。
※後宮とは后妃などが住む建物
色めきだつ太后は、嫪毐の夜の仕事に満足し2人の子を授かる。
太后は反乱のため国を作ろうと考え、嫪毐を山陽長官に推薦し、呂不韋はそれを察して承諾する。
そして毐国という国を作り秦から独立する。
その後、呂不韋は2人の隠し子をばらし、秦国に攻められる恐怖心を利用し反乱を起こさせる。
嫪毐は楚と連携し咸陽を責めるが、昌平君に読まれる。
飛信隊、昌平君、昌文君が援軍により、嫪毐は捕まり死罪となる。
呂不韋は毐国に咸陽を攻め落とさせた後に、秦国を奪う作戦を練っていたが失敗となる。
蒲鶮(ほかく)
秦国の屯留で実権を握る城主代行。
趙軍を討伐するため出陣した成蟜を捕まえて、謀反を起こしたと見せかける。
牢から抜け出した成蟜に討たれ死亡する。
蒲鶮とつるみ計画を練ったのは呂不韋である。
向(こう)
田舎の貧しい商家に育った宮女。
政が読書に没頭したく、何度も伽に呼ばれる。
第一子を授かると権力を手に入れられるが、向はその手の話には興味がない。
「嬴政の暗殺未遂」「呂不韋と大后の密会」「毐国の乱」など多くのトラブルに巻き込まれる。
やがて政の子である麗を出産(第一子ではない)。
信からは「地味宮女」と呼ばれる
陽(よう)
高貴な生まれの宮女であり、向の一つ年上の親友。
政と向の進展に興味津々。
宮女や国の状況に疎い向に、よくものを教えている。
咸陽が毐国に攻め込まれたときには、狙われる麗を守るため、騎馬に飛び込もうとしたところ信に救われる。
その行動力から「根性宮女」と呼ばれる。