魏国の登場人物を紹介。
【呉慶軍】
呉慶(ごけい)
甲という小国で王族として生まれるが趙により滅ぼされる。
その後に魏国に移り大将軍まで上り詰める。
知略型といわれ軍才は魏随一。
秦に責められた蛇管平原の戦いでは、丘を占有し優位な状況を作るが、本能型と言われる麃公に強行突破される。
部下に「退くための計略の数は五十ある」と言うが、侵略者に祖国を奪われた経験から、麃公と一騎打ちを望む。
知将ながら序盤は互角の戦いを見せるが、力及ばず敗れる。
麃公は呉慶の敗因を「将の責務より私情を優先させた」と語る。
息子の名は呉鳳明。
後に魏国で台頭する武将となる。
宮元(きゅうげん)
蛇管平原の戦いでは、呉慶の副将として参戦する。
装甲戦車隊を使い信が所属する麃公軍の第4部隊に一方的な攻撃を仕掛ける。
しかし秦国の縛虎申に強行突破され本陣に乗り込まれる。
負傷した縛虎申に止めを刺すが、これは縛虎申が狙った捨て身の策であり相打ちで死亡する。
黄離弦(こうりげん)
宮元の部下であり、連弩隊を指揮する弓術に長けた武将。
(連弩とは一度に矢を撃ちだせる機構を備えた武器)
蛇管平原の戦いで、丘を陣取った宮元隊に突進する縛虎申に弓で迎え撃ち致命傷を与える。
しかし縛虎申隊と共に丘を駆け上がった信に両断される。
白亀西(はく きさい)
呉慶の副将。
蛇管平原では麃公に呉慶が討たれ、反撃を試みようとするも戦場に現れた王騎に睨まれ退却する。
蒙驁軍に攻め込まれた山陽の戦いでは、魏国民から人望が厚いため、廉頗の命令により総大将となる。
これは廉頗自身が自由な行動するのため策であり、実権は廉頗に握られる。
廉頗は蒙驁本陣に迫るが、同時に桓騎の策により白亀西は捕虜となる。
桓騎に「命乞いすれば助けてやる」と伝えられると「魏の誇り」を優先し、命乞いすることなく惨殺される。
桓騎はその誇りを「大馬鹿だな」と笑う。
朱鬼(しゅ き)/麻鬼(ま き)
「将狩り」の異名を持つ呉慶直属の武将。
強行突破する麃公を孤立させ、討ち取るよう命じされるが、麻鬼は信に、朱鬼は麃公に討ち取られる。
【廉頗軍】
廉頗(れん ぱ)
軍才と武力の双方に秀でた趙の英雄。
趙の三大天として活躍するが、悼襄王から恨みより総大将の座をはく奪され、それに反発した廉頗は部下を連れて魏国へ亡命する。
亡命から3年。
秦の蒙驁軍が魏の山陽に攻め込むと再び戦場に立つ決意をする。
その動機は”王騎が討たれたことへの憤り”と”王騎の言葉”。
その言葉とは「退屈したら蒙驁軍と戦え」「蒙驁が抱える2人の副将は、世が気付いていない化物」。
その副将である桓騎と王翦の策に嵌った廉頗は、全滅を避けるためを山陽から撤退する。
この失態に魏王から追放され、楚へ亡命することになる。
介子坊(かい しぼう)
廉頗の右腕と言われる廉頗四天王。
正攻法で敵を破壊する力は廉頗に匹敵し、単独でも百勝はあげる。
山陽の戦いでは桓騎と対峙し、ゲリラ戦と精神的攻撃に苦戦する。
蒙驁軍の本陣に突撃するが、見失った桓騎軍に本陣を奪われる。
輪虎(りん こ)
廉頗四天王のひとり。
幼少期に戦火に巻き込まれた集落の生き残り。
廉頗に拾われ、数多の大戦を経験し”廉頗の飛槍”と呼ばれるほど成長する。
かつては王騎軍の防陣を突破し、王騎に一刀を叩き込むほど。
山陽の戦いでは、信と王賁の二人相手に五分の戦いをみせる。
翌日、輪虎は蒙驁本陣を狙うと、待ち構えていた信と一騎打ちとなる
飛信隊の副将疎水が視界に入り、切りつけた隙を信に狙われ死亡する。
輪虎が愛用していた曲刃は、廉頗から信に譲られる。
玄峰(げん ぽう)
廉頗四天王であり参謀の役割を担う。
若き日の廉頗の師であり、趙軍全体の総司令を担うほどの戦略家。
山陽の戦いでは、戦場を盤上の遊びの如く操り、蒙驁軍にすさまじい死傷者を出す。
頭脳戦となった桓騎軍とは、桓騎の変装という奇策により本陣に乗り込まれる。
奇才な桓騎を見て現峰は「弟子にしてやっても良いぞ」と伝えるが、桓騎は「いるかよ。雑魚が」と首を跳ねられる。
姜燕(きょう えん)
廉頗四天王のひとり。
かつては廉頗と五分の渡り合い、国が滅亡と共に廉頗に仕える。
中華十弓のひとりでもあり、常人の倍の飛距離を出せる弓で、部隊に合図を出す。
秦の六将である白起、王齕、王騎、摎と戦った経験を持つ。
山陽の戦いで王翦と対峙し、築城した王翦を封じ込める。
しかし終盤まで無傷であった王翦軍が、廉頗を退却させる理由となる。
呉鳳明(ご ほうめい)
魏国の大将軍であり呉慶の息子。
武の力はないが、父と同様に戦術眼に長ける。
「特殊な井闌車」を設計や「床弩」と呼ばれる巨大な弩の考案し、難攻不落と言われた函谷関を陥落直前まで追い詰める。
それを見た春申君からは「天下には色んな天才がいる」「異質な武将」と称される。
著雍の戦いでは、録嗚未軍、飛信隊、玉鳳隊の三点攻めに敗れ退却する。
逃走中に信に追撃さえるが、隣にいた霊凰を総大将である自分と勘違いさせて生き延びる。
魏火龍とその配下
魏火龍とは秦の六将、趙の三大天に並ぶ魏の武将。
七人いることから「魏火龍七師」と呼ばれる。
あることをきっかけに呉慶を除く六名が対立し、太呂慈、晶仙、馬統は死亡する。
魏の先王は対立した霊凰、凱孟、紫伯を斬首しようとしたが、呉慶に思い止まらせる。
14年の投獄されていた後に、呉鳳明が王を説得し再び戦場に戻る。
【霊凰軍】
霊凰(れい おう)
魏国の「魏火龍七師」のひとり。
呉慶も恐れるほど冷酷無慈悲な軍略家であり、呉鳳明の師でもある。
著雍の戦いでは、録嗚未軍、飛信隊、玉鳳隊の3軍の強行突破により、本陣を落とされるも退却する。
退却途中で、飛信隊の襲撃され呉鳳明と勘違いされ討たれる。
勘違いさせたのは呉鳳明の策である。
乱美迫(らん びはく)
魏国の将軍。
鉄仮面を付けた巨漢で、かつては王騎や摎が手を焼いたほどの腕前。
霊凰が信に討たれたことにより呉鳳明の配下となる。
周鉱(しゅうこう)
霊凰の側近。
著雍の戦いで本陣が落とされると、霊凰と共に逃げ総大将である呉鳳明と合流する。
飛信隊の信に追撃されると、呉鳳明は霊凰を身代わりにして逃げ延びる。
それを見た周鉱は呉鳳明に詰め寄るが「強き者が残らねば、魏は勝ち残ることはできぬ」と返され、しぶしぶながら付いていく。
【凱孟軍】
凱孟(がい もう)
魏国の「魏火龍七師」のひとり。
取った武将の首は百を超え一騎打ちを好む。
廉頗や王騎は「凱孟と一騎打ちは死を意味する」と一騎打ちを避けた程の武力。
復帰戦となる著雍の戦いでは飛信隊と対峙する。
凱孟の一撃を受けた信は、以前に受けた廉頗の一撃を連想させるほど。
河了貂の策にかかり隆国軍と挟み撃ちされ退却する。
荀早(じゅん そう)
凱孟の軍師であるが、闘争心がない。
そもそも戦は嫌いであるが、冷静に戦況を分析できる軍略家。
飛信隊の素早い連携を見て、軍師である河了貂を狙う。
河了貂を捕獲することに成功するが、自信も羌瘣に捕獲され、捕虜の交換により復帰する。
その後、飛信隊に対して優勢に進めるが、河了貂の策により隆国が援軍に駆けつけると「抜かったわ」と退却する。
紫伯(し はく)
魏国の「魏火龍七師」のひとりあり、魏国史上最強の弓使い。
同じ魏火龍の太呂慈が、妹の紫季歌を殺したことにより、魏火龍の同士討ちを引き起こす。
妹を失ったことにより「心を持たぬ冷徹な大槍」と化す。
14年ぶりの復帰戦となった著雍の戦いで、王賁に討たれ妹の元へ帰る。
間永(かんえい)氷鬼(ひょうき)
左は間永将軍、右が氷鬼軍師。
山陽を奪還するため、里井で飛信隊と対峙する。
羌瘣の離脱により力任せになっている飛信隊を狙うが、河了貂の戦略に翻弄され捕虜となる。
これが軍師河了貂にとっての初陣であり、飛信隊の隊員から信頼を得るきっかけとなる。